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警告

警告

<全効能共通>

本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。(「禁忌」、「用法及び用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「過量投与」の項参照)

<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制>

本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。(「禁忌」、「用法及び用量に関連する使用上の注意」、「慎重投与」、「重要な基本的注意」、「過量投与」の項参照)

禁忌

禁忌(次の患者には投与しないこと)

全効能共通

  1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 臨床的に問題となる出血症状のある患者[出血を助長するおそれがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
  3. 血液凝固異常及び臨床的に重要な出血リスクを有する肝疾患患者[出血の危険性が増大するおそれがある。]

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

腎不全(クレアチニンクリアランス(CLcr)15 mL/min未満)の患者[使用経験がない。]

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

重度の腎障害(CLcr 30 mL/min未満)の患者[使用経験が少ない。]

組成・性状

有効成分に関する理化学的知見

一般名 アピキサバン[命名法:JAN] Apixaban[命名法:JAN]
化学名 1-(4-Methoxyphenyl)-7-oxo-6-[4-(2-oxopiperidin-1-yl)phenyl]-4,5,6,7-tetrahydro-1H -pyrazolo[3,4-c]pyridine-3-carboxamide(IUPAC)
分子式 C25H25N5O4
分子量 459.50
性状 アピキサバンは白色~微黄色の粉末である。ジメチルスルホキシドにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。

効能又は効果

  1. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
  2. 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑

効能又は効果に関連する使用上の注意

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

  1. ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症患者又は血栓溶解剤の使用や肺塞栓摘出術が必要な肺血栓塞栓症患者における有効性及び安全性は確立していないため、これらの患者に対してヘパリンの代替療法として本剤を投与しないこと。
  2. 下大静脈フィルターが留置された患者における本剤の使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること。(「臨床成績」の項参照)

用法及び用量

  1. 非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制通常、成人にはアピキサバンとして1回5mgを1日2回経口投与する。なお、年齢、体重、腎機能に応じて、アピキサバンとして1回2.5mg 1日2回投与へ減量する。
  2. 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制通常、成人にはアピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口投与した後、1回5mgを1日2回経口投与する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制

次の基準の2つ以上に該当する患者は、出血のリスクが高く、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、1回2.5mg 1日2回経口投与する。(「臨床成績」の項参照)

  • 80歳以上(「高齢者への投与」の項参照)
  • 体重60kg以下
  • 血清クレアチニン1.5mg/dL以上

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制

  1. 特に静脈血栓塞栓症発症後の初期7日間の1回10mg 1日2回投与中は、出血のリスクに十分注 意すること。
  2. 本剤の投与期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症の再発リスク及び出血リスクを評価した上で決定し、漫然と継続投与しないこと。[国内臨床試験において、本剤を6ヵ月以上投与した経験はない。]

使用上の注意

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

  1. 出血のリスクが高い患者(先天性あるいは後天性出血性疾患、活動性の潰瘍性消化管疾患、細菌性心内膜炎、血小板減少症、血小板疾患、活動性悪性腫瘍、出血性脳卒中の既往、コントロール不良の重度の高血圧症、脳・脊髄・眼科領域の最近の手術歴等を有する患者)[出血の危険性が増大するおそれがある。]
  2. 重度の肝障害のある患者[使用経験がない。]
  3. 腎障害(非弁膜症性心房細動患者はCLcr 15~50mL/min、静脈血栓塞栓症患者はCLcr 30~50mL/min)のある患者[出血の危険性が増大するおそれがある。]
  4. 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
  5. 低体重の患者[低体重の患者では出血の危険性が増大するおそれがある。]

2.重要な基本的注意

  1. 凝固能検査(プロトロンビン時間(PT)、国際標準比(INR)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)等)は、本剤の抗凝固能をモニタリングする指標とはならないため、本剤投与中は出血や貧血等の徴候を十分に観察すること。また、必要に応じて、血算値(ヘモグロビン値)、便潜血等の検査を実施し、急激なヘモグロビン値や血圧の低下等の出血徴候を確認すること。臨床的に問題となる出血や貧血の徴候が認められた場合には、本剤の投与を中止し、出血の原因を確認すること。また、症状に応じて、適切な処置を行うこと。
  2. 患者には、鼻出血、皮下出血、歯肉出血、血尿、喀血、吐血及び血便等、異常な出血の徴候が認められた場合、医師に連絡するよう指導すること。
  3. 他の抗凝固剤と併用する場合には、出血の徴候を十分に観察しながら本剤を投与すること。(「相互作用」の項参照)
  4. 抗血小板薬、非ステロイド性消炎鎮痛剤との併用療法を必要とする患者においては、出血リスクが増大することに注意すること。これらの薬剤と本剤の併用の可否については、本剤との併用を開始する前に、リスクベネフィットを考慮して慎重に判断すること。抗血小板薬2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用すること。(「相互作用」、「その他の注意」の項参照)
  5. ビタミンK拮抗剤(ワルファリン)から本剤へ切り替える際には、ビタミンK拮抗剤の投与を中止し、PT-INRが非弁膜症性心房細動患者では2.0未満、静脈血栓塞栓症患者では治療域の下限未満となってから本剤の投与を開始すること。
  6. 本剤からビタミンK拮抗剤(ワルファリン)に切り替える際には、PT-INRが治療域の下限を超えるまでは、本剤とワルファリンを併用すること。
  7. 他の抗凝固剤(注射剤)から本剤に切り替える場合、次回に投与を予定していた時間まで間隔をあけて、本剤の投与を開始すること。ただし、抗凝固剤(ヘパリン等)の持続静注から切り替える場合は、持続静注中止と同時に本剤の投与を開始すること。
  8. 本剤から他の抗凝固剤(注射剤)へ切り替える場合は、次回に投与を予定していた時間まで間隔をあけて、切り替える薬剤の投与を開始すること。
  9. 待機的手術又は侵襲的手技を実施する患者では、患者の出血リスクと血栓リスクに応じて、本剤の投与を一時中止すること。出血に関して低リスク又は出血が限定的でコントロールが可能な手術・侵襲的手技を実施する場合は、前回投与から少なくとも24時間以上の間隔をあけることが望ましい。また、出血に関して中~高リスク又は臨床的に重要な出血を起こすおそれのある手術・侵襲的手技を実施する場合は、前回投与から少なくとも48時間以上の間隔をあけること。なお、必要に応じて代替療法(ヘパリン等)の使用を考慮すること。緊急を要する手術又は侵襲的手技を実施する患者では、緊急性と出血リスクが増大していることを十分に比較考慮すること。
  10. 待機的手術、侵襲的手技等による抗凝固療法(本剤を含む)の一時的な中止は、塞栓症のリスクを増大させる。手術後は、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに再開すること。
  11. 患者の判断で本剤の服用を中止することのないよう十分な服薬指導をすること。本剤を服用し忘れた場合には、気づいたときにすぐに1回量を服用し、その後通常どおり1日2回服用するよう指導すること。服用し忘れた場合でも一度に2回量を服用しないよう指導すること。

3.相互作用

本剤は、主にCYP3A4/5によって代謝される。また、本剤はP-糖蛋白及び乳癌耐性蛋白BCRP)の基質となる。 (「薬物動態」の項参照)

4.副作用

非弁膜症性心房細動患者を対象とした第3相国際共同試験(日本人335例を含む総投薬症例数18,140例)において、9,088例に本剤が投与された。副作用が報告された症例は9,088例中2,524例(27.8%)であった。主な副作用は、鼻出血456例(5.0%)、血尿234例(2.6%)、挫傷151例(1.7%)、血腫129例(1.4%)、貧血103例(1.1%)であった。日本人335例中160例に本剤が投与され、副作用が報告された症例は45例(28.1%)であった。主な副作用は、鼻出血11例(6.9%)、皮下出血8例(5.0%)、結膜出血4例(2.5%)、挫傷3例(1.9%)、皮下血腫3例(1.9%)、便潜血3例(1.9%)、血尿3例(1.9%)であった。非弁膜症性心房細動患者を対象とした国内第2相試験(総症例218例)では、143例に本剤が投与された。副作用が報告された症例は143例中34例(23.8%)であった。主な副作用は、鼻出血5例(3.5%)、尿中血陽性3例(2.1%)であった。(承認時)

静脈血栓塞栓症患者を対象とした国内第3相試験(総症例80例)では、40例に本剤が投与され、副作用が報告された症例は13例(32.5%)であった。主な副作用は、鼻出血3例(7.5%)であった。(効能追加承認時)

(1)重大な副作用

1.出血 頭蓋内出血(頻度不明))、消化管出血(0.6%)、眼内出血(0.3%)等の出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
2.間質性肺疾患 (頻度不明 間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、咳嗽、血痰、息切れ、呼吸困難、発熱、肺音の異常等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
3.肝機能障害 (頻度不明 AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

副作用発現頻度は、効能追加承認時までの国内臨床試験及び国際共同臨床試験の日本人患者の成績に基づき算出した。

注) 国際共同臨床試験において副作用として特定された事象のうち海外においてのみ認められた副作用、又は自発報告からの副作用を頻度不明として記載した。

(2)その他の副作用

次のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。

5.高齢者への投与

一般に高齢者では腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。非弁膜症性心房細動患者に対して本剤を投与する場合、特に80歳以上の患者に対しては、腎機能低下(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)及び体重(60kg以下)に応じて本剤を減量すること。(「用法及び用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)

6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

  1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(マウス1)、ラット2), 3)及びウサギ4))で胎児への移行が認められている。]
  2. 授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている5)。]

7.小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性及び有効性は確立していない。[使用経験がない。]

8.過量投与

症状 本剤の過量投与により、出血リスクが増大する。
処置 本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はない。出血の徴候が認められた場合には、適切な処置を行うこと。また、活性炭による処置を考慮すること。[外国人健康成人において、本剤20mgを経口投与後2及び6時間に活性炭を経口投与したとき、アピキサバンのCmaxは変化しなかったが、AUCは約50%及び27%低下し、消失半減期は活性炭非投与時の13.4時間から5.3及び4.9時間に短縮した6)。]血液透析による除去は有効ではない。(「薬物動態」の項参照)出血した場合には、症状に応じて外科的止血や新鮮凍結血漿の輸注等も考慮すること。

9.適用上の注意

薬剤交付時 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

10.その他の注意

日本人を含む急性冠症候群の患者(承認外効能・効果)を対象とした国際共同臨床試験において、本剤5mg 1日2回群とプラセボ群の比較が行われたが、本剤群で臨床的に重要な出血の増加が認められたこと等から、試験は早期に中止となった。この試験ではほとんどの患者でアスピリン及びチエノピリジン系抗血小板薬の2剤との併用が行われていた7)。

2017年4月改訂の添付文書に基づいて作成しました。