悪性腫瘍は静脈血栓塞栓症(VTE)の危険因子である1)一方、抗凝固療法中の出血リスクが高いことも知られており2)、癌を合併するVTE患者さんの抗凝固管理は、リスクとベネフィットを十分に考慮する必要があります。
本コンテンツでは、エリキュースの癌合併VTE患者さんを対象とした「CARAVAGGIO試験」についてご紹介します。

1)肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)p7
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_ito_h.pdf(2020年4月閲覧)
2)Prandoni P et al. Blood 100: 3484, 2002

Point1

癌を有するVTE患者を対象とした
エリキュースの臨床試験

CARAVAGGIO試験は、癌を有する近位DVTまたはPE患者1,168例を対象とした、エリキュースとDalteparinの比較試験です。
試験の主目的は、癌患者のDVT・PE新規診断におけるDalteparin治療に対するエリキュース治療の非劣性の検証であり、主要評価項目は「試験期間中に発症し客観的に確認された再発性VTE」および「大出血」となっています。

CARAVAGGIO試験の試験デザイン①(海外データ)
ダルテパリンナトリウムの効能又は効果、用法及び用量
CARAVAGGIO試験の試験デザイン②(海外データ)

患者背景(抜粋)をお示しします。
各薬剤の投与を受けた例数は、エリキュース群576例、Dalteparin群579例でした。年齢(平均)はエリキュース群、Dalteparin群のいずれも67.2歳、クレアチニンクリアランス≦50ml/minの割合はエリキュース群が8.9%、Dalteparin群が10.5%でした。

CARAVAGGIO試験の患者背景(海外データ)①

本試験に登録された患者の癌の種類についてお示しいたします。
10%以上を占めていた癌種は、エリキュース群、Dalteparin群ともに、大腸癌、肺癌、乳癌、泌尿生殖器癌、婦人科癌でした。

CARAVAGGIO試験登録患者における癌の内訳(海外データ)
Point2

VTEの再発を評価項目としたDalteparinに対するエリキュースの非劣性の検証

CARAVAGGIO試験の有効性②(海外データ)

CARAVAGGIO試験の有効性主要評価項目であるVTEの再発は、エリキュース群32例(5.6%)、Dalteparin群46例(7.9%)に認められました。
両群間のハザード比は0.63[95%信頼区間:0.37-1.07]であり、エリキュースのDalteparinに対する非劣性[非劣性マージン=2.0(両側95%信頼区間の上限)]が検証されました。

CARAVAGGIO試験の安全性(海外データ)

安全性主要評価項目である大出血の発現は、エリキュース群22例(3.8%)、Dalteparin群23例(4.0%)に認められ、両群間のハザード比0.82[95%信頼区間:0.40-1.69]でした。

CARAVAGGIO試験の安全性主要評価項目/副次評価項目(海外データ)

安全性主要評価項目の内訳ですが、消化管出血の発現が、エリキュース群11例(1.9%)、Dalteparin群10例(1.7%)で、ハザード比は1.05[95%信頼区間:0.44-2.50]でした。

CARAVAGGIO試験の有害事象(海外データ)

本試験の有害事象は、エリキュース群69.1%(576例中398例)、Dalteparin群74.3%(579例中430例)に認められました。
主な有害事象は、エリキュース群では、悪性新生物進行72例(12.5%)、貧血36例(6.3%)、鼻出血34例(5.9%)などであり、Dalteparin群では、悪性新生物進行78例(13.5%)、呼吸困難41例(7.1%)、下痢・嘔吐・鼻出血・肺塞栓症が各25例(4.3%)などでした。

CARAVAGGIO試験は、VTEおよび出血の両方にリスクの高い、
癌を有するVTE患者を対象にエリキュースの有効性と
安全性を検討した臨床試験であり、2020年3月に発表されました。
本試験結果が先生方の日常診療の一助となれば幸いです。

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