安全性・適正使用情報

適正使用に関するお願い

エリキュース®(アピキサバン)は、血液凝固活性化第Ⅹ因子(FⅩa)を可逆的に阻害する経口抗凝固剤です。非弁膜症性心房細動患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(ARISTOTLE試験)において、PT-INR2~3を標的としたワルファリン治療との比較におけるエリキュースの有効性及び安全性が確認され、2013年2月に「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を適応症として本邦において承認されました。

また、静脈血栓塞栓症患者を対象とした海外第Ⅲ相試験(AMPLIFY試験)及び国内第Ⅲ相試験(AMPLIFY-J試験)において、従来治療※との比較におけるエリキュースの有効性及び安全性が確認され、2015年12月に「静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制」を適応症として承認されました。

エリキュースの投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがありますので、本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断してください。

本冊子をエリキュースの投与前にお読みいただき、患者さんの安全性の確保の一助としてご活用ください。

※: AMPLIFY試験における対照薬はエノキサパリン及びワルファリン、AMPLIFY-J試験における対照薬は未分画ヘパリン及びワルファリン。

投与の前の注意事項



※1 有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない
※2 一般に腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇するおそれがある


5.効能又は効果に関連する注意
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
5.1ショックや低血圧が遷延するような血行動態が不安定な肺血栓塞栓症患者又は血栓溶解剤の使用や肺塞栓摘出術が必要な肺血栓 塞栓症患者における有効性及び安全性は確立していないため、これらの患者に対してヘパリンの代替療法として本剤を投与しないこと。
5.2下大静脈フィルターが留置された患者における本剤の使用経験が少ないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィッ トを十分考慮すること。[17.1.3参照]
7.用法及び用量に関連する注意(抜粋)
7.2特に静脈血栓塞栓症発症後の初期7日間の1回10mg 1日2回投与中は、出血のリスクに十分注意すること。[1.1参照]
8.重要な基本的注意(抜粋)
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
8.11本剤の投与期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症の再発リスク及び出血リスクを評価した上で決定し、漫然と継続投与しな いこと。国内臨床試験において、本剤を6ヵ月以上投与した経験はない。

製品添付文書より作図

検査項目

投与前に、下記の項目をご確認ください。
なお、投与中は適宜、腎機能や肝機能などをご確認ください。

※NVAF:非弁膜症性心房細動

【参考】エリキュースの薬物動態パラメータに対する内因性要因の影響

第Ⅰ相の薬物動態試験や母集団薬物動態解析の結果、エリキュースの曝露量に対する腎機能、肝機能、年齢、性別、体重などの影響は限定的であることが示されています。これらの因子を個別に持つ場合には用量調節の必要はありませんが、複数の因子を同時に持つ場合には、曝露量の増加と出血のリスクが高くなることを考慮し、減量する必要があることが示唆されています。(承認時評価資料)

2.禁忌(次の患者には投与しないこと)(抜粋)
〈効能共通〉
2.3血液凝固異常及び臨床的に重要な出血リスクを有する肝疾患患者[出血の危険性が増大するおそれがある。][1.1参照]
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
2.4腎不全(クレアチニンクリアランス(CLcr)15mL/min未満)の患者[9.2.1参照]
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
2.5重度の腎障害(CLcr30mL/min未満)の患者[9.2.3参照]
6.用法及び用量
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
通常、成人にはアピキサバンとして1回5mgを1日2回経口投与する。
なお、年齢、体重、腎機能に応じて、アピキサバンとして1回2.5mg 1日2回投与へ減量する。
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
通常、成人にはアピキサバンとして1回10mgを1日2回、7日間経口投与した後、1回5mgを1日2回経口投与する。
7.用法及び用量に関連する注意
〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
7.1次の基準の2つ以上に該当する患者は、出血のリスクが高く、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、1回2.5mg1日2回 経口投与する。[1.1、17.1.1参照]
・80歳以上[9.8参照]
・体重60kg以下
・血清クレアチニン1.5mg/dL以上
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
7.2特に静脈血栓塞栓症発症後の初期7日間の1回10mg 1日2回投与中は、出血のリスクに十分注意すること。[1.1参照]
8.重要な基本的注意(抜粋)
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
8.11本剤の投与期間については、症例ごとの静脈血栓塞栓症の再発リスク及び出血リスクを評価した上で決定し、漫然と継続投与しな いこと。国内臨床試験において、本剤を6ヵ月以上投与した経験はない。
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.1.2低体重の患者 出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1参照]
9.2腎機能障害患者〈非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制〉
9.2.1腎不全(CLcr 15mL/min未満)の患者 投与しないこと。腎不全(CLcr 15mL/min未満)の患者を対象とした有効性及び安全性 を指標とした臨床試験は実施していない。[2.4参照]
9.2.2腎障害(CLcr 15 〜50mL/min)のある患者 出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1参照]
〈静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制〉
9.2.3重度の腎障害(CLcr 30mL/min未満)のある患者 投与しないこと。重度の腎障害(CLcr 30mL/min未満)のある患者を対象と した有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[2.5参照]
9.2.4腎障害(CLcr 30 〜50mL/min)のある患者 出血の危険性が増大するおそれがある。[1.1参照]
9.3肝機能障害患者
9.3.1重度の肝障害のある患者 重度の肝障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8高齢者 一般に腎機能が低下し本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。非弁膜症性心房細動患者に対して本剤を投与する場合、 特に80歳以上の患者に対しては、腎機能低下(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)及び体重(60kg以下)に応じて本剤を減量すること。 [7.1、16.6.3参照]

出血リスクの確認

投与前に、以下の出血リスクがある場合には、慎重に投与してください。

製品添付文書 9.1合併症・既往歴等のある患者より作図

年齢の確認

一般に高齢者では腎機能が低下し、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、患者さんの状態を
観察しながら慎重に投与してください。非弁膜症性心房細動患者さんに対して本剤を投与する
場合、特に80歳以上の患者さんに対しては、腎機能低下(血清クレアチニン1.5mg/dL以上)及び体重
(60kg以下)に応じて本剤を減量してください。

製品添付文書 9.8高齢者より

体重の確認

低体重の患者さんでは本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、出血の危険性が増大するおそれがあるため、患者さんの状態を観察しながら慎重に投与してください。

製品添付文書 9.1.2低体重の患者より

腎機能の検査

投与前に、腎機能をご確認ください。

肝機能の検査

投与前に、血清ビリルビン、国際標準化プロトロンビン比(PT-INR)、ALT/ASTなどをご確認ください。肝機能障害はChild-Pugh分類などを用いて評価してください。

併用注意(併用に注意すること)

エリキュースは、主にCYP3A4/5によって代謝されます。また、本剤はP-糖蛋白及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質となります。

※1 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、本剤の減量(1回10mgの場合は5mg、1回5mgの場合は2.5mg)を考慮すること、あるいは、治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤との併用が適切と考えられない患者には併用しないこと。 詳細については製品添付文書の10.相互作用の項をご参照ください。

※2 静脈血栓塞栓症患者に対して併用した場合、本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用を避けることが望ましい。 詳細については製品添付文書の10.相互作用の項をご参照ください。

【参考】薬物相互作用の検討

※3 1回10mgの場合は5mg、1回5mgの場合は2.5mgを考慮すること(ケトコナゾールは本邦未発売のため、製品添付文書に記載なし)。
1)承認時評価資料:Frost CE, et al.: Br J Clin Pharmacol 79: 838, 2015[EQB5-0052/L20150427149]
2)承認時評価資料:Frost C, et al.: Br J Clin Pharmacol 78: 877, 2014[EQB4-0127/L20140929115]
3)承認時評価資料:アピキサバン静脈内投与を含むリファンピシンとの相互作用[EQ201211/L20121108004]
4)承認時評価資料:Barrett YC, et al.: Thromb Haemost 107: 916, 2012[EQB2-0440/L20121122104]

抗血小板薬と併用する場合

抗血小板薬との併用療法を必要とする患者さんにおいては、出血リスクが増大することに注意してください。
製品添付文書 10.2併用注意より

日本人を含む急性冠症候群の患者(承認外効能・効果)を対象とした国際共同臨床試験において、本剤5mg1日2回群とプラセボ群の比較が行われましたが、本剤群で臨床的に重要な出血の増加が認められたこと等から、試験は早期に中止となりました。この試験ではほとんどの患者でアスピリン及びチエノピリジン系抗血小板薬の2剤との併用が行われていました。
製品添付文書 15.その他の注意より

抗血小板薬2剤と併用する場合
抗血小板薬2剤との併用時には、出血リスクが特に増大するおそれがあるため、本剤との併用についてはさらに慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合のみ、これらの薬剤と併用してください。
製品添付文書 8.重要な基本的注意より

他の抗凝固剤、血栓溶解剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤、
デフィブロチドナトリウムと併用する場合

他の抗凝固剤、血栓溶解剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤、デフィブロチドナトリウムと併用する場合には、出血の徴候を十分に観察しながらエリキュースを投与してください。
エノキサパリンとの併用によるⅩa因子阻害の増加は相加的であることが示されています。
製品添付文書 10.2併用注意、16.7薬物相互作用より